Vol.6
照明計画で広々&省エネ
日本人は世界一明るいのが好き。人工衛星で高い空からみても、夜一番光が多いのは日本だそうです。
住まいの照明でもとにかく明るくしたいという要望が多いみたいです。
日本の家の照明は欧米の家の数倍は明るいそうですが、それでも日本人はまだ暗いと感じ、家を新築すると、
さらに高いワット数のものを選びます。なぜでしょうか?
こたえはワット数ではなく、均斉度にありました
均斉度とは、部屋全体の明るさが均一かどうかをあらわす尺度です。明るい部分と暗い部分に差がある、つまり均斉度が悪いと人間は不快に感じます。逆に明るさが一定、均斉度が良いと心地よく感じます。 日本の住宅では部屋の真ん中に大きな照明器具をひとつだけつけるというパターンが非常に多いようです。これだと部屋の真ん中は明るいのですが、部屋の隅のほうには、どうしても「かげ」になる部分ができます。テーブルの下やソファの脇にも強い「かげ」ができます。この「かげ」が人間に暗くて不快な印象を与えているのです。
2つの図は同じワット数の明かりを、部屋の中央に集中させた場合と、4つに分散させた場合の比較です。 どうでしょうか?2つを見比べると、ワット数は同じなのに、4つに分散させたほうが明るく見えませんか?中央に集中させるとテーブルのあたりだけが極端に明るく、壁の方が暗くなるのが分かると思います。 この壁際の「かげ」が暗いと感じさせる原因です。いくら高いワット数の明かりを使っても中央だけが明るくなり、壁際の暗さがさらに際立ってしまいます。 均斉度が悪くなるのです。 明るさ解析を見ても、壁のほうが暗い青色で、明るさに差があるのが分かります。一方、光を分散させると部屋全体が明るくなるだけでなく、部屋が広く感じられませんか? 光を分散させれば無駄に高いワット数にする必要もなく。部屋も広々感じられるので一石二鳥です。もし新聞を読むときなど、もう少し明かりがほしいときは、欧米のようにフロアスタンドなどで手元を照らしましょう。 おしゃれと省エネの両方を実現できます。
部屋の中央だけの照明では、いくら高いワット数を使っても快適にはなりません。それよりもダウンライトやフロアスタンドなどを使って部屋の隅々まで明るくすれば、均斉度が良くなり、ワット数以上に明るく感じます。地球温暖化が大きな問題となっている今、無駄な照明は環境にも家計にもよくありません。電力を節約できて、部屋も明るく広く見える「分散照明」を取り入れた照明計画をお勧めします。
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